日常

専門性を活かしあうために

農家さんとの提携などにより保育園に給食用の食材を入れている会社の方とお会いする機会を頂いた。
たくさんの保育園さんとやり取りする中で、栄養士さんと保育士さん、お互いに連携を取りたいと思いつつも、どうやって進めていったらいいか悩んでいらっしゃるというお話だった。

一般的に「食育」と言うと、どうしても調理体験や野菜の栽培などをイメージしてしまいがちだが、
子どもにとっての「食」は、必ずしも食べることや作ることだけでなく、生活や育ちそのものだと思う。

例えば、手づかみ食べ。
大人にとって食べ物を口に入れることは簡単なことでも、子どもたちにとっては、まず目に見えたものに手を伸ばしてつかむ、つかんだものを離さずに引き寄せる、口元にしっかり持ってくる、口を大きく開けてその中に食べ物を入れる、食べ物をとらえて口を閉じる というたくさんの動作のプロセスがある。実に長い道のりの身体の動きや感覚の統合が必要だ。

その身体の使い方を身につけるために、普段の遊びの中でもたくさんの動きを獲得できるようなしかけをそっとする。
それが保育環境を作る保育者の役割である。

栄養士さんと保育士さんの話に戻ると、それぞれの専門性があって、保護者や子どもへの寄り添い方もそれぞれの得意なやり方がある。お互いに遠慮せずにコミュニケーションをとることで、自分には当たり前と思っていたことが、実はそうでなかったりすることに気づく。

食育は、栄養士さんだけのものでもなく、かといって保育士だけで無理にがんばらなければいけないものでもなく、いろんな形があって良いのでは、と思う。
こども食育インストラクターの講座でも、是非、専門性を活かしあうための工夫を一緒に考えて、園での食育活動が豊かで生活に根付いたものに膨らんでいくよう、サポートしたいと考えている。

(食育インストラクター講師)


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